実はどこにでも、誰にでもある怖さ
向田邦子を読んでいる。
きっかけはNHKで深夜に再放送をしていた『阿修羅のごとく』。
寝るつもりが、あっという間に引き込まれて、最後まで観てしまった。
脚本が、向田邦子だった。
それをきっかけに本屋で向田邦子を探し、読んでいる。
向田邦子作品に描かれているのは大げさな設定や大事件ではない。
普通の人の普通の生活なのだけれど、各人がそれぞれに人に言えない事情をかかえ、嫉妬したり、悩んだり、怒ったり、詮索したりする。
それが怖ろしい。
何か、もの凄くリアルというか、自分の周りの女性もそういう風に思い、行動するのだろうかと想像すると、すっと血の気が引くような気持ちになる。
そして、おそらく、そうなのだ。
でも、彼女たちはそれを表には出さず、しまい込み、でも忘れることはない。
そんなことを考えさせられる向田邦子作品である。
なまじっかなホラーよりも怖ろしい。