空海の風景
マイブームの空海本。
今度は司馬遼太郎の筆による、“小説”。
司馬遼太郎自身が“小説”とは言っているが、
一般的な、物語る小説ではなく、考察に近い。
様々な資料を元に、
「こうだったのではないか」
「こうも考えられる」
ということが語られる。
(ちなみに、弘法大師伝説ではなく、生身の空海について書かれた本)
この本を書くという行為が、資料から空海の姿、その時代の風景を浮かび上がらせようという作業なだけに、
「であろう」
「ではなかったか」
「にちがいない」
「想像できる」
「想像は、あるいは許されていいかもしれない」
というような表記が頻出する。
可能な限り資料を集め、その隙間を「こうではなかったか」という
“創作”で埋めていくという、司馬遼太郎の小説手法の原始的な
状態とは、こういう文章なのではないかと、感じた。
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